今回は菊池寛氏の仰るところの、「穴馬の見つけ方」という話になりますが、ぶっちゃけて言ってしまうと、現代に生かせる部分はあまりありませんw
この辺、昭和10(1935)年当時と、85年後の2020年を比べる、歴史を楽しむような感じでご覧いただけたらと思います。
さて、菊池寛氏の講演の続きです。
”さういふ訳ですから、其実力を発揮せぬ前に此馬の実力を知ることは二百円を取る一番捷径だらうと思ひますが、サテこれは却々難しいことだと思ひます。それにはですね、矢張実力を知るにはいろいろ方法がありますが、一番に馬の血統といふことを御研究になつた方がよいと思ふ。
例へば競馬でよくいふサラブレッドといふことが、どういふ意味かお考へになつてゐない方がある。英語にありますが、サラといふのはこれは純粋といふ言葉、若しくは完全、ブレッドは育成、サラブレッドは純粋に育成されたといふことで、決して意味の判らな言葉ではない。完全に育成されたといふ言葉である。競馬に関係の深い人でもアラブ、サラブといふ人がありますがサラブなどと云ふ読み方はない。サラと云つて貰ひたい。皆様アラブ、サラブと仰しやらないでアラブ、サラと仰しやつて頂きたいと思ひます。
サラブレッドは英国から来た馬であります、それから一般に濠洋、濠洲産洋種といふ馬の中には購入当時その血統が詳細でないため、実際は濠洲から来たサラブレッドが多数混つてゐます。それから此血統といふことです、御研究になるとおなじサラブレッドでも北海道辺のサラブレッドは余り強い馬はゐない。矢張小岩井、下総牧場のサラブレッドは強い血統の馬がゐる。さういふことを一寸御注意になればよく判るだらうと思ひます。此血統をよく知つてをれば皆様方も馬券をお買ひになるとき自信がつきます。其血統に対して信用をもつてをれば、確信が従つてもてることになります。”
まず、血統を知るべきだという話です。
ただ、どうも当時の見方は外国産>小岩井牧場、下総牧場産(てことは、岩手県と千葉県?)>北海道産という単純な三分割で、現代のように距離適性、馬場適性等を細かくみていくやり方とは程遠い考え方のようで。
しかし、岩手はなんとなくわからんでもない気がしないでもありませんが、千葉県?馬産?ということでググッてみると、なんと一発で見つかっちゃいました。
昭和44(1969)年まで、千葉県成田市に『宮内庁下総御料牧場』なるものがあったそうな。
で、そこで昭和2(1927)年に輸入されたトウルソヌルから、第1回のダービー馬ワカタカが産まれ、昭和10(1935)年に輸入されたダイオライトから日本初の三冠馬セントライトが誕生しています。
確かに名門牧場だわ。
しかも当時、あの牧場もいたんですよ。
社台牧場っていうんですけどね。
移転するときに、北海道日高地方に移って馬産を続けて今に至るっていう。
牧場自体は栃木県高根沢町に移転して今もあるとのこと。
いやあ、歴史ありですなぁ。
余談。
この牧場は、新東京国際空港(成田空港)の土地として使うために閉鎖されたのが大きな理由であるということと、今、写している菊池寛氏の講演はセントライトの生誕年に行われたということ。
おっさんになると歴史ものが好きになりますが、競馬の歴史ものもなかなかええやんかと思いました。
で、続き。
"それからもう一つは過去の成績、去年の春の成績、秋の成績をよくお調べになつて置けば、屹度私は二百円の穴が一つ位は取れるだらうと思ふ。それから競馬が始まりまして、五日目位に前の四日目位の成績を根よく調べられると、屹度二百円が一つ位取れるんぢやないかと私は思ふ。"
過去の成績はわかる。馬柱に載っている以上に過去に戻って調べるのは何より楽しいから僕もよくやります。
しかし、五日目位に四日目位の成績を調べる?
今でいうところの、第1回中山競馬と第2回中山競馬の成績を調べるってことですかね?
間で春の東京では走って、夏はダメで、秋になって東京に戻ったら走るみたいな?
昔の競馬新聞って過去の着順が載せられてても、どこ競馬場のどんな条件でどんな馬場で走ったってことは書いてませんから、そこのところを言ってるのかもしれません。
そう考えると、現代の我々が利用している競馬専門紙どころか、スポーツ紙に載っている情報って大変充実していますね。
過去3走しか馬柱が無いとしても、馬体重もあるし、展開もあるし、直線はどこを通ったとか、出遅れ、不利なんてこともわかるように書いてある。
それで当てられない僕は・・・。
ちょっと泣きそうになりましたが、それでも競馬は楽しいから泣かない!
では、明日は、土曜日の富士ステークス(GⅢ)で10,000円チャレンジ第4回をスタートし直すので、その買い目をアップしまーす。次こそ10倍にしてゴールしてやるぜ!
ほなまた。
最強競馬ブログランキングへ